「我が家のマシュマロ実験」 頭をマシュマロのように柔らかく
先日、仕事を終えて家に帰ると、ナルが冷蔵庫の前でグズっていた。
「ぜりー たべたい・・・」
「ご飯食べた後にね」
「いま たべたい・・・」
どうやら大好物のゼリーをねだっているようだ。
もうすぐに夕食の時間だ。
マコも当然渋る。
そこで、私はナルに一つ提案してみた。
「ナル、ご飯の前だから 今すぐ食べるなら ゼリー1個だけあげる。
でも、ご飯の後まで我慢できたら ゼリー2個あげる! どっちが良い?」
有名なマシュマロ実験だ。
マシュマロ実験
マシュマロ実験とは、4歳の子供に「目の前のマシュマロ1個をすぐもらう」か、「15分間待って2個もらう」かを選ばせる、という実験。
結果は、我慢できず1個だけもらった子が3分の2、我慢して2個もらった子が3分の1だった。
その後の追跡調査により、欲求に打ち勝った自制心の強いグループは、欲求に負けたグループより、大学進学適正試験の点数が高く、中年時の肥満指数が低く、ストレスにうまく対処する、といった共通点があったという。
私はゼリーでナルの自制心を図ろうとしたのである。
「いま たべる」
「わかった」
(即答か!まあ3歳になったばかりだしな。所詮まだまだ子供よのう)
私は笑いながらゼリーを1つナルに与えた。
その後、夕食の準備が整い、皆が席に着くと私の顔を見ながらナルは言った。
「なるちゃん ごはん ぜんぶ ぴっかぴかにたべたら ゼリー2こ たべてもいーい?」
「良いよ!」
私は思わず即答していた。
第3の選択肢
やられた!見事である。
もし、食後に「もっとゼリー食べたい」と言っても、私もマコも「さっき食べたでしょう?」と、与えなかったと思う。
(与えたとしても1個だな)
自ら達成困難な条件を加える事によって 、合計3個のゼリーを食べる方法が マシュマロ実験にはあったのだ!
ナルは 『遊び欲 >>>食欲』なので、食事を完食する事が少ない。
どうしても途中で飽きてしまって残すので、常日頃 私もマコも頭を悩ませていたという事情もあった。
そこを上手く突かれたのでる。
その後、宣言通り夕食を全てピッカピカに食べ終え、満足気に2個のゼリーを食べるナル。
その姿は最高にクールだった。
マシュマロのように柔らかく
世の中では必ずしも約束が履行されるとは限らない。
だから、時と場合によっては1個のゼリーを選ぶべき時ってやつも存在する。
そして、3個のゼリーを獲得することだってやり方によっては可能なのだ。
自制心はもちろん大切だが、耐える以外にも、より冴えた方法があるかもしれないから、思考停止してはならない。
頭をマシュマロのように柔らかくして、試行錯誤し続けなければならないのだ。
正解はひとつとは限らない。
私はそれを、改めて子供に教えられた。