「秋の夜長に単身赴任させられる事を考える」 生きていくための手段と、生きるための目的
久々の出張
昨日は泊まりの出張で、家に帰らなかった。
久々に家事と育児から解放されて、自由な時間を過ごす。
何度か経験して分かっていた事だが、全然嬉しくない。
私は仕事で疲れた体に鞭打ちながらでも、家族のために家事育児をしたり、共に過ごす方が幸福なのだ。
寝る前に家に電話する。
「おとうしゃん きょう かえってくる?」
ナルが半ベソかきながら私に訊く。
「ごめんな。今日は帰れないんだ」
そう答えると、みるみる下唇がニュッと出てくる。
いつもの泣き顔で愛おしい。
ああ、なんてお父さん大好きっ子なんだろう、というわけではなく、今日は幼稚園も日だったからいっぱい遊んで眠いんだろうな。
マコに早めの寝かしつけをお願いして、電話を切る。
ああ、早く帰りたいなぁ。
寂しいなぁ。
思考錯誤 単身赴任
私は思考することが趣味なので、車の運転中などにいろいろなことを考えている。
今日は転勤を申し渡されたらどうしようということを考えていた。
昨年、我が家は会社から近い場所に土地を買って家を建てた。
もちろん35年ローンだ。
会社から近い場所に建てたのは、そのエリアが最近市街化地域になって、元農地がガンガン造成地になり売りに出されていたからだ。
また、土地の価格はそこそこ安く、同じように子育て世帯が入居することが期待できた。
会社に近いってことは、通勤にかかる時間を削減できる。
それまで30分ほどかかっていた通勤時間は、現在10分ほどである。
外回りの時にこっそり家に寄ったり、昼食を食べに帰れる。
そんなメリットもある。
だが、東京への転勤が決まった。
部長が悪魔のような顔をして、私の肩を叩くのである。
「未来の幹部候補として東京で経験を積んで欲しい」
ということだが、そのあたりは眉唾だ。
そして、これはもう決定事項であるらしい。
私に拒否権はないとのことだ。
家族全員で引っ越すか?
単身赴任するか?
家を建ててしまったたからには、さすがにマコとナルトモは東京には連れて行けないだろう。
男子2人をワンオペ育児するのはさすがにきついだろうが、この街にはマコの姉妹も両親もいる。
そのあたりのヘルプを受けながら、なんとかやっていけるだろう。
問題は私の方だ。
単身赴任した場合、こっちの家に帰れるのはよくて2週間に1回といったところか。
一人暮らし歴は長いので、身の回りのことは一通りできる。
仕事については、土地勘がない場所で、仕事のやり方も変わるだろうし苦労することだろう。
だが、住宅ローンもまだまだある。
ナルトモの教育資金も稼いでこないといけない。
何事も経験だ、とりあえず単身赴任はしてみるのは良いかもしれない。
だが、ナルは3歳、トモはまだ1歳だ。
今が一番可愛い時期じゃないか。
この時期を失って良いものだろうか?
私はどうすれば良いのだろう・・・
そんな事を、迫真の苦悩で考えて遊んでいた。(アホ)
本当の結論は、実際にそうなってみないと出せないのだろうけど、現時点での心情としてはどうも会社を辞めそうである。
手段と目的
働く事は生きていくための手段だ。
だが、家族と共に楽しく生きることは、私が生きる目的そのもののような気がする。
手段はいくらでも替えが効く。
まあ、給料が下がったり、働く時間が増えたり、転職そのものに失敗するリスクは当然ある。
だが、人生の目的ばっかりは替えが効かない。
そうは言いながらも、頭の中で色々なものを天秤にかける。
家族の幸福や、自分自身の幸福。
単身赴任だって数年だ。
ナルトモが成長して手がかからなくなったら、また違う結論が出るかもしれない。
そもそも、転勤のターゲットにならないようにいろいろ手を回すのも大事だな。
いざとなったら、こっちに戻させるよう仕向けるのもありか。
といった感じで、秋の夜長にありもしない話を真剣に想定していました。
私は一体何をやっているんだ。
馬鹿な事してないでさっさと寝ますね!
おやすみ!!